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概要:オーストラリアの銀行各社が、たった3カ月で6000万豪ドル以上(日本円にして約60億円規模)の不正送金未遂を検知したことが明らかになりました。

背景にあるのは、2024年末に稼働を始めた新しいリアルタイム情報共有ネットワーク「BioCatch Trust Australia」。2025年7〜9月だけで1億8000万件超、総額3300億豪ドル以上の決済データを分析したといいます。今や国内の銀行口座保有者の85%以上をカバーする巨大なネットワークとなっています。
BioCatchによると、送金先口座のリスクプロフィールを7割以上の取引で即時取得できるようになり、銀行は送金が実行される前に不審な兆候を捉えられるようになりました。
「マッチングが成功した際、いまでは7割超のソーシャルエンジニアリング詐欺を検知できるようになった」と同社のティム・ダルグリーシュSVPは話します。
一方で、2025年版犯罪動向レポートは光と影を示しました。マネーミュール(資金洗浄目的の「出し子」)は2割減少したものの、アカウント乗っ取りは前年比47%増、直近半年では倍増という厳しい数字が並んでいます。
急増する詐欺の背後には、地域的な構造もあると分析されています。OSINT Combineのエメラルド・セージ氏は、東南アジア各地に存在するコンパウンド型犯罪拠点が中心にあると指摘します。
「こうした拠点は周縁的な犯罪集団ではなく、統治の隙間、地域の対応の遅さ、そして裏の金融ネットワークを利用する定着したインフラになっている」と語り、さらに中国系犯罪ネットワークとの接点が、アジア全域への拡散力を高めていると明かします。
オーストラリア決済ネットワークのトビー・エバンス氏は、急速な決済技術の進化が安全対策の強化を上回っていると警鐘を鳴らしています。
「AIを活用したEC、各国の高速送金システムの連携…。決済の進化は止まりません。進化には必ず負の側面も生まれる。初期段階から安全性を組み込むことで、イノベーションと安心を両立できるはずです」
2025年の詐欺傾向は分野ごとに明暗が出ました。
また、遠隔操作ツール(RAT)を使った手口は前年から2割減り、犯人側がより大量に騙せるソーシャルエンジニアリングへ移行している可能性が示されます。
マッコーリー銀行を含む新たに2つの金融機関もネットワークに加入し、BioCatch Trustは業界賞を受賞。まだ新しい枠組みながら、銀行側の危険シグナルの捕捉範囲は大きく広がった形です。
別の報告では、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)が1年間で6900件の投資詐欺・フィッシング関連サイトを削除したと発表。内訳は以下のとおりです。
同期間で投資警告リストには1035件を追加し、退職金を狙った手口への注意喚起も行っています。
オーストラリアでは、テクノロジーの進化とともに詐欺の形も急速に変貌しています。今、課題は「守りをどれだけ早く強化できるか」。その攻防が2026年以降の金融リスクを大きく左右しそうです。

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