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概要:返り咲きを目指すトランプ前米大統領がニューヨーク州における訴訟で巨額の支払いリスクに直面している。手元資金のほとんどが底を突く状況に陥りかねず、自身のイメージを経済的な成功や富に結びつけているトランプ氏にとって、打撃となる可能性がある。
NY州での訴訟2件、最悪の場合は支払いで純資産15%吹き飛ぶ公算
トランプ陣営の財政は潤沢も、個人的な法的費用に選挙資金は使えず
返り咲きを目指すトランプ前米大統領がニューヨーク州における訴訟で巨額の支払いリスクに直面している。手元資金のほとんどが底を突く状況に陥りかねず、自身のイメージを経済的な成功や富に結びつけているトランプ氏にとって、打撃となる可能性がある。
トランプ氏には26日、性的暴行を加えられ、その後の言動によって名誉を毀損(きそん)されたとして作家ジーン・キャロル氏が起こした裁判で、8330万ドル(約123億4000万円)の支払いを命じる評決が下された。またニューヨーク州のジェームズ司法長官が起こした詐欺疑惑に関する民事訴訟では、融資条件を良くするためにトランプ氏が自身の富を水増しして銀行に申告し、不当に得たとされる利益3億7000万ドルの返還を求められており、今週にも判断が下される見通しだ。
トランプ氏に123億円支払い命じる評決-作家に対する名誉毀損 (1)
トランプ氏は昨年の宣誓証言で、自身の手元資金について「実質的に4億ドルを超える」と述べている。ブルームバーグ・ビリオネア・インデックスでは、トランプ氏の流動資産が約6億ドルとされているが、トランプ氏の正確な財務状況が今も不透明であることはよく知られている。
1週間足らずで最悪のシナリオである総額4億5000万ドル余りの支払いを命じられれば、資金繰りが厳しくなることもあり得る。実際にそうなれば、トランプ氏の推定純資産の15%近くが吹き飛ぶ計算だ。
共和党の大統領候補争いでトップを走るトランプ氏にとって、タイミングもこれ以上ないほど悪い。トランプ氏はこれまで4件、計91の罪状で起訴されており、すでに多額の訴訟費用に直面している。トランプ陣営の財政は誰の目からみても盤石だが、トランプ氏の手元資金と全体的な富とは別のもので、これら司法判断に選挙資金を充てることはできない。
トランプ氏は、政治的職務に関連するものや議会の調査など、一部の法的費用の支払いに選挙資金を充てることはできるが、損害賠償のような個人的な費用には使えない、と元連邦検察官のジェニファー・ロジャーズ氏は指摘する。「候補者あるいは役職者として関与していない問題で、損害賠償に政治資金を充てられるような例外はない」という。
キャロル氏の訴訟で8330万ドルの支払いを命じられたトランプ氏
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